はじめに
AIを活用した学習支援は注目が高まっていますが、導入にあたっては機能だけでなく、データの扱いやシステム構成、安全性の確保といった観点も重要になります。
特にMoodleのようなLMSでは、
- どのデータが対象になるのか
- Moodleのデータは変更されないのか
- AI処理はどこで実行されるのか
といった点を事前に整理しておく必要があります。
本記事では、Moodle向けAI基盤「EduAI」と、その中核AIエンジン「ELRAG」を例に、システム構成、データフロー、セキュリティ設計の考え方を整理します。
- EduAIとELRAGの構成と役割分担
- MoodleとAIがどのように連携するのか
- データがどのように扱われるのか
- 安全に運用するための設計のポイント
EduAIとELRAGの位置づけ
EduAIは、株式会社イーラーニングが提供するMoodle向けAI基盤です。
その中核でAI処理を担うのが、独自開発のAIエンジン ELRAG です。
構成としては、
- Moodle:データの保持・画面表示
- ELRAG:検索・生成などのAI処理
という役割分担になっています。
システム構成
EduAI / ELRAGは、Moodleと連携しながら次のような構成で動作します。
Moodle LMS / Moodle Workplace
↓
ELRAGプラグイン(データ収集・画面表示)
↓
ELRAGシステム(AI処理・検索・履歴管理)
AI処理はMoodle本体ではなく、ELRAG側で実行されます。
データの流れ(Data Flow)
ELRAGでは、次のような流れでデータが処理されます。
コース内コンテンツの取得
↓
事前解析
↓
検索用データの生成
↓
質問入力
↓
関連箇所の抽出
↓
AIによる回答生成
↓
Moodle上に表示
この構成により、すべてのデータを都度処理するのではなく、事前に整理された情報から必要な部分のみを利用する形になります。
ノーヒットの場合でも、類似度の高い活動が提示される設計となっており、教材の不足や改善点の把握に活用できます。
データの扱いと保管
対象データ
対象となるのは、主にMoodleのコース内コンテンツとアップロードファイルです。
例:
- ページ
- PDFファイル
- 小テスト
- 用語集
- 動画字幕(ELVideo)
また、活動に紐づくデータとは別に、PDF・CSV・TXTなどのファイルをドラッグ&ドロップで追加取り込みすることも可能です。
データの保管
データは国内環境に保存される構成となっています。
また、不要なデータは削除可能であり、運用に応じた管理が行えます。
セキュリティ設計
Moodleデータを変更しない設計
ELRAGの設計は、「データ非改変(参照のみ)」を前提とした設計原則に基づいています。
ELRAGはMoodleのコースコンテンツを参照して処理を行いますが、Moodle側のデータを変更することはありません。
この設計により、既存の学習環境への影響を抑えた運用が可能です。
AI処理の分離
AI処理はELRAGシステム側で実行され、Moodle側はデータ収集と表示に限定されます。
これにより、Moodle本体の負荷を抑えつつ、安定した運用がしやすくなります。
また、データ連携はMoodleからELRAGへの一方向を前提とした構成となっています。
参照範囲の制御
AIが参照する範囲は、管理者が設定可能です。
- サイト単位
- テナント単位(Moodle Workplace)
- コース単位
さらに、コースカテゴリーや活動単位での調整も行えます。
認証と運用
認証にはJWTが採用されており、データの送信や連携はMoodleのスケジューラを通じて制御されます。
送信対象や処理タイミングは、運用に応じて設定可能です。
運用観点でのポイント
EduAI / ELRAGの設計は、実運用を前提とした安定性と制御性を重視しています。
Moodle側の負荷を抑える
AI処理を分離することで、Moodle本体への影響を最小限に抑えた構成となっています。
大量コンテンツへの対応
事前解析を行うことで、大量の教材がある環境でも安定した処理を目指す設計です。
管理者による制御
参照範囲やデータの取り込みは管理者が制御できるため、組織ごとの運用ルールに合わせた設定が可能です。
まとめ
EduAIは、Moodleに特化したAI基盤であり、ELRAGがその中核を担います。
設計上のポイントは、
- Moodleデータを書き換えない
- AI処理を外部で実行する
- 参照範囲を管理者が制御できる
- データを国内環境で管理する
といった点にあります。
AIの導入を検討する際には、機能だけでなく、データの扱い、システム構成、安全性といった観点も含めて確認することが重要です。
※本記事は2026年3月時点の情報に基づいています。
※EduAIは、現場のフィードバックをもとに継続的に改善・機能拡張を進めています。
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