前回の記事では、学生の視点から、Moodle LMS 5.3の新機能や、Moodle 4.5から5.3への主な変更点をご紹介しました。
今回は、教師の視点から、コース作成や学生の管理、採点などに関する変更点をご紹介します。
教材を作りやすくする工夫や、日々の管理・採点をサポートする機能など、教師の皆さまにぜひチェックしていただきたい改善が盛りだくさんです!
※本記事では、Moodle 5.3(Build: 20261005)の検証環境を使用しています。
※Moodle 5.3で追加・変更された機能に加え、Moodle 4.5から5.3へ移行する際に知っておきたい、途中のバージョンで導入された主な変更点もご紹介しています。
※実際の動作は、サイト全体の設定によって異なります。
1. コース画面が見やすく、操作しやすくなりました
Moodle 5.3では、コース画面や活動・教材のページのデザインが見直され、全体的にすっきりと、見やすく操作しやすくなりました。
中央のコースコンテンツだけでなく、左側のコースインデックスや右側のブロックドロワーも刷新され、開閉操作や表示方法、フォント、画面配置などにも変化が見られます。
Moodle 4.5からアップグレードした場合は、コースに入った瞬間に、画面全体の印象の違いに気づくかもしれません。
毎日使うコース画面だからこそ、こうした使い勝手の改善はうれしいポイントですね!
1-1. コース全体を見渡しやすいレイアウトに
コースページでは、セクションと活動・教材の階層がわかりやすく整理され、画面全体がすっきりとした印象になりました。
左側のコースインデックスや右側のブロックドロワーも見直され、コース内の情報を確認しやすくなっています。
また、長いコースでは「すべてを折りたたむ」を使うと、各セクションの内容が折りたたまれ、コース全体の構成を把握しやすくなります。

1-2. 活動や教材を追加するときも、選びやすくなりました
この変更はMoodle 5.1から導入されたものですが、コースに活動や教材を追加するときに使う「活動チューザー(Activity chooser)」も改善されています。
■ 目的別に分類され、必要な活動を探しやすくなりました
活動チューザーでは、活動や教材が「評価」「共同作業」「コミュニケーション」「リソース」「インタラクティブコンテンツ」の5つの目的別カテゴリに分類されています。
これらはMoodleにあらかじめ用意された分類で、目的に合わせて候補を探せるため、追加したい活動や教材を見つけやすくなりました。

■ 活動の特徴を確認してから選べます
各活動の説明には、目的別の分類に加えて、評定の対象となるかどうかも表示されます。活動の特徴を確認したうえで、コースに追加するものを選べます。

日々のコース作成で使う機能だからこそ、こうした小さな改善も、操作のしやすさにつながります。
2. 小テスト(Quiz)の機能が強化されました
2-1. 小テストに期限を設定できるようになりました
小テストでは、「小テスト受験可能期間の開始日時/Open the quiz」と「小テスト受験可能期間の終了日時/Close the quiz」に加えて、「期限/Due date」を設定できるようになりました。
期限を過ぎても、終了日時までは小テストを受験できます。ただし、期限を過ぎてからの受験は「期限超過」として扱われます。
「受験できる期間」と「期限」を分けて設定できるため、期限を過ぎた学生にも受験の機会を残しながら、期限を守っているかどうかを管理しやすくなります。
なお、期限は受験の目安です。受験できなくなるのは、従来どおり終了日時を過ぎてからで、期限を設定しても、終了日時による受験制限の動作は変わりません。
2-2. 小テストのレポートで、学生を検索・絞り込みできるようになりました
小テストの「評定(Grades)」レポートと「回答(Responses)」レポートで、ユーザーの検索やグループの選択、名前による絞り込みができるようになりました。
参加者数の多いコースでも、確認したい学生を探しやすくなり、成績や回答内容を確認する手間を減らせます。

3. コースをまたいで問題を共有・利用できるようになりました
コースごとに作成していた問題を、ほかのコースでも利用できるようになりました。
たとえば、複数のコースで共通の確認問題を出題したい場合や、同じテーマを扱うコース間で問題を共有したい場合に、コースごとに同じ問題を作り直す手間を減らせます。
コースごとに問題を管理するだけでなく、コースを横断して問題を活用できるため、小テストの作成やメンテナンスを効率化できます。

また、問題バンク自体の操作性も改善され、問題を管理しやすくなりました。
4. 課題を複数の教師で採点し、それぞれのフィードバックを伝えられるようになりました
課題を複数の教師が採点できるようになり、それぞれの採点結果を最終評点にどう反映するかも設定できるようになりました。
たとえば、レポートや論述式の課題を複数の教師で評価したい場合や、評価が難しい提出物について別の教師にも意見を求めたい場合に活用できます。
さらに、採点者は全体へのフィードバックとは別に、自分のコメントを付けることができます。学生は全体のフィードバックに加えて、採点者それぞれのコメントも確認できるため、複数の視点から評価やアドバイスを受けられます。
また、すべての提出物を複数人で採点するだけでなく、追加の意見が必要な提出物に限って、任意の採点者を加えることもできます。
複数の教師が関わる採点を進めやすくなるだけでなく、学生にとっても、より多角的なフィードバックを受けられる仕組みです。
5. その他の変更
■ 「活動」タブで、活動の一覧を確認しやすくなりました
「活動」タブでは、活動の種類ごとに情報が整理され、コース内の活動状況を一覧で確認できます。
たとえば課題では、期限、提出数、採点が必要な件数が表示されるため、提出状況や採点の進捗を把握しやすくなりました。

■ エディタ(TinyMCE)の改善
折りたたみ式の見出しなどを使って、教材や説明文をより見やすく整理できるようになりました。
■ コース完了レポート
コース完了レポートを、CSV、Excel、PDFなどの形式でダウンロードできるようになりました。
■ AIの利用状況
コース単位で、学生のAI機能の利用状況を確認できるようになりました。(サイトでAI機能が有効になっている場合に限ります)
■ 参加者一覧
受講登録が有効でない参加者について、その理由を確認しやすくなりました。
■ ダークモード
画面の表示をダークモードに切り替えられるようになりました。(利用にはサイト側での有効化が必要です)
■ ログイン画面
ログイン画面のデザインが刷新され、よりすっきりとした見た目になりました。
いかがでしたか?
Moodle 5.3では、コース画面や活動チューザーの改善に加え、小テストの管理、問題の共有、複数の教師による課題の採点など、日々のコース運営をサポートする機能も充実しています。
Moodle 4.5からアップグレードした場合は、画面の見た目だけでなく、これまでの操作や管理方法にも変化を感じるかもしれません。
新しくなった機能をぜひチェックして、日々のコース運営に役立ててみてください!
■ 新機能についての公式ドキュメント
https://docs.moodle.org/503/en/New_for_teachers
■ Moodle LMS 5.3 公式リリースノート
https://moodledev.io/general/releases/5.3
